1: 後輩のつがい

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「三、四歳とか、たぶんそれくらい」  軽く十年を超えている。 「つがいって、このあいだ部屋にいた人だよな? ものすっごいキレイな人だったけどーー年上だよな? どういう繋がりだよ。近所のお兄さんとか?」  それか幼馴染。十年前からのつながりで思いつくものといえば、それくらいしか思い浮かばない。それなら『物心』というのも頷ける。  それにしたって一途すぎるだろと、未だ信じられない気持ちで返事を待っていると、 「兄です」  と言われた。  佐野は、眉を顰めた。 「……おもしろくねーぞ、その冗談」 「いや、本当に」  相変わらず神上の表情に冗談の色はない。真実なのだ、と悟る。 「ーーよく親許したな」  つがい関係は、相手の身辺調査ーーだいたいオメガ側がーーをはじめ、なにかと準備がいる場合が多い。アルファ側はなんらかの事業で成功していることが多く、スキャンダルにつながるようなつがいはさけたいのだ。  直系血族や三親等内の傍系血族でつがいになることは、法的に規制されているわけではない。不慮の事故もあるため、法として定めにくいためだ。  とはいえ周囲に与える印象は、けっして良いとは言えない。よって、実兄弟同士というは大抵は許しが出ない。     
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