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---菖蒲さんと、お付き合いをさせてください。
菖蒲とは、私の姉の名前だ。
驚天動地の展開に、家族みんな唖然としてしまったのを覚えている。
高校を卒業したばかりの姉と、まさか先生がそうゆう関係になるなんて、夢にも思っていなかったからだ。
---私が先生を好きになったの。でも先生は、高校を卒業するまではダメって…。だから今までは何も無いよ?挨拶も別に良いって言ったんだけど、先生が…こうゆうのはケジメが大事だからって。
姉は嬉しそうにここに至った経緯を報告した。
---教師である私が、生徒に手を出すわけにはいきませんでしたから。あと……そう言ったら菖蒲さんが諦めてくれるかと思ってました。
先生は申し訳なさそうに打ち明ける。
先生らしいセリフだ。
---ですが菖蒲さんは、ずっと真っ直ぐに私に思いを伝えてくれていました。そんな彼女の真っ直ぐなところに、いつの間にか惹かれていたんです。
先生の言動は、すごく誠実だった。
まだ姉に手を出してはいないし、付き合い始めてすぐに挨拶に来てくれたのだ。
誠実過ぎて、非の打ち所がないくらい。
---2人の気持ちは分かりました。ただし、条件があります。
それでも父は、2人に条件を出した。
【2人の関係は結婚するまでは公にしない事】
また、
【もし結婚するとしても、それは姉が短大を卒業してからにする事】
相手が元担任の先生では、変な噂が立ちかねない。
本当は交際も結婚も許したくないだろうに。
姉の事を考えた父の、精一杯の譲歩だろう。
先生は二つ返事で了承し、姉も渋々ながらその条件をのんだ。
こうして、2人の交際はスタートし、姉が短大を卒業するのを待って、結婚という事になった。
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