雨は終わりと共に

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付き合っている間は公に出来ないので、2人が会うのはもっぱらうちだった。 先生がうちに来れば、私も自然と顔を合わせるし、簡単な会話くらいは交わす。 たまに勉強を教えてくれる事もあった。 姉なんかより、頼りになったからだ。 でも、それがいけなかった。 だって先生は、良い先生だから。 教え方は上手いし、落ち着いていて、大人で、優しい。 私が難しい問題の答えを当てると、すごいな、って言って頭をぐしゃぐしゃに撫でてくれた。 先生にとって私は妹みたいな存在。 先生は姉の恋人。 分かっていたはずなのに。 1番近くにいる大人の男性に惹かれるなという方が無理だった。 この気持ちが『恋』だと気づいたのは、姉と先生が改めて結婚の報告をした時だ。 当然、「おめでとう」と笑顔で伝えた。 でもその後、部屋で1人になった時、目から涙が流れた。 その夜は、人知れず1人で泣いた。 この時ようやく、先生に対する気持ちが恋になっていたと気付いたのだ。 気付いた瞬間、失恋。 笑える。 泣きながら、不遇な恋をしてしまった私を笑った。 バカだなあ、と何度も呟いた。 そんな失恋を経験したけれど、私は先生のいる高校へと入学した。 前々からそこに行きたいと宣言していたし、今更変える方がかえって変に思われると思ったからだ。 そして今に至る。
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