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はあ、と先生が大きくため息をついた。
そして先生は数分考え、答えを出した。
「……分かった。家には寄らないけど、送って行く」
そうくると、思ってた。
私の予想通りの答えだ。
「やった。…ありがとう先生」
表には出さないけど、心の中でガッツポーズをした。
「もう帰れるのか?」
「先生さえ帰れるなら、私はいつでも」
「じゃあ……車に乗ってろ」
先生はポケットからすっと車のキーを出し、私に手渡してくれた。
私はそれを両手で受け取る。
「良いんですか?」
「俺もすぐ行くから」
「……分かりました。先に行ってますね」
「ああ。忘れ物しないようにな」
先生は自然と、私の頭に手を置いた。
すぐに離されたけれど、大きくて優しいその手に、私はドキドキした。
こういう事をスマートにしてしまう大人なところが、同級生とは違う。
私が先生に惹かれる理由だ。
「じゃあまた後で」
そう言って先生は、他の教室も見回りながら職員室に戻って行った。
私もすぐにスクールバッグを持ち、駐車場へと向かった。
手渡されたキーをぎゅっと握りしめながら。
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