雨は終わりと共に

7/13

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
何の気なしに、先生はそう言ってきた。 …先生には、言われたくないのに。 それでも私はぎゅっと拳を握りしめ、先生の質問に答えた。 「……いませんよ」 「そうか」 「安心しました?」 「……うん。だってお前は、大事な義妹(いもうと)だからな」 -----義妹。 嫌な響き。 これを言われると、私はもう何も言えなくなる。 そうですね、と小さく呟く。 そしてまた話題を変える。 「お姉ちゃん、この前ドレス選びに行ったんで私も付いて行ったんですけど、すごく綺麗でしたよ」 「ああ。俺も早く見たいなあ」 「まだ式は先ですよね?それまで見ないんですか?」 「俺はね。当日までのお楽しみって言われたよ」 先生の表情が、明らかに変わった。 途中何度かニヤついて、私に見られていると気づくとすぐに真面目な顔に切り替えて。 「先生。お姉ちゃんの事、幸せにしてあげて下さいね」 先生の様子を見るに耐えなくて、私は俯きながらそんな事を口にした。 もちろん、と即座に、堂々と断言される。 (………いいなあ) 先生に愛されている姉が、心底羨ましい。 今日は人を羨んでばかりだ。 雨だから、やはり気持ちが落ち込んでいるのだろうか。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加