[-2day]

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          ★☆★☆★☆★☆★☆ 「……うわぁ」  思わず声もそりゃあ出る。  本日のカリキュラムも終えての下校時。僕と朗は、校門の脇で、隠れもせずに待ち構える金髪仁王を見てしまった。 「怒ってる。あれ、すっごい怒ってるね。見つかったら絶対面倒なことになるけど、どうする朗――って、あ、」  出来るならば避けるが吉な面倒の予兆、だがしかしうちの放っておけないガールと来たら発見直後にロックオン、喜び勇んで駆け出して、 「あー! みーちゃんだ、みーちゃーん!」 「せいっ!」 「あうっ」  あっさりと迎撃されるK型ロケット。昼前の体育の授業、その決着の場面をなぞる形である――ただし、その時は攻守が逆だったが。  倉橋朗は方々に首をつっこむお節介さの塊だが、ことちゃんばら(・・・・・)に於いては反対に、自分から攻めるのが苦手なのだった。 「マジにどういう神経してるのよあなた……こっちの心情とか考えないわけ……あれだけの観衆の中で、あんな大見得切っておきながら、無様にやられた私の気持ちとか……」 「すっごい楽しかったね! やっぱりみぃちゃんの動き、とってもキレイ! 見とれちゃわないようにするのが大変だった!」  勿論、この場合どちらが悪いって美荻が悪い。朗にその手の理解、矜持への配慮なんていうのを期待するのがまあ無理だ。  思えば九年間、彼女たちはいつもこうして食い合わない価値観で動き、一方的にぶつかってきた。  ――僕はその中で、当事者だったことは無かったけれど、傍から見ていてこのちぐはぐは、なんというか、こう、微笑ましい。 「――ちょっと。何を笑っているの、そこの添え物(パセリ)。不愉快よ」 「え。いやだなあ、言いがかりだなあ、そんな顔してないよ?」 「は、まったく白々しい。気配が馬鹿にしてるの、明らかに!」  九年間、である。  添え物は添え物なりに視界の端ぐらいには捉えられていたようで、美荻は朗ほどではなくとも、基本的に分かりにくい僕の心情を察してくる。流石は首席、目配り洞察も一級品。  しかしパセリはひどいと思う。  言い得て妙ではあるけれど。
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