北風と太陽

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 なんとか無事に「愛し合う」事に成功した翌朝、書斎から岸へ電話をした。余計な事を言われないよう、今日一日、休養が必要になった旨を告げサッサと電話切る。  リビングのカウチとローテーブルの間で布団に包まっているナツ。布団ごとナツを抱きしめて、寝癖で爆発した頭にキスした。 「ん……」 「おはよ」  モゾモゾと布団の中で動くナツ。「イテテ……」と小さな声が聞こえた。 「大丈夫? 床で寝たから体が固まっちゃた?」  ナツは顔半分を布団から出して俺を見ると、また顔を布団の中へ潜らせた。 「ちがうよ、バカ」  可愛くて、またギュウウウッと布団ごと抱きしめるとナツが顔を半分出して怒った。 「苦しいっ!」  俺はもう、緩む頬を隠すことも出来なくてナツへ言った。 「ずっとここにいて。俺、ナツに好かれるように頑張るから」 「んだそれ、俺はヒモかよ!」  ナツが若干キレた。 「ううん。俺がちゃんとナツに向いてる仕事見つける。ナツはなんでもやれることも知ってるから。でも希望があれば教えて? 無職は精神的に良くない。ナツは特に貧乏性だから、働かないと罪悪感感じるでしょ? 働かないで俺の嫁になってくれてもいいんだけど」 「誰が貧乏性だよ」  ナツは怒った顔のまま、布団越しに俺へ腹パンを食らわせた。 完
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