2章 完全犯罪

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「S2000は目立つ車ですからね。それをあそこまでいい状態で乗っているとなればなおさらです」 「んふふ、でしょ? いろいろいじる人いるけど、もともとが速い車だからね。フェンダーをいじったり大きなウイングつけるよりも、ノーマルの状態に近いほうがいいと思って」 「そう言いながらも、足回りはいじっていますよね? ブレーキパットとサスペンション。あまり見かけない色でしたが……」 「どこのメーカーか、みんな聞いてくるんだけど、あれは無限のやつ。サーキットで走るのに、色々試したけど、ホンダだからさ。やっぱり無限のが一番よかったなあ」 「無限であんな色があるんですね。初めて見ました」 「見たことなくて当たり前だって。色は塗ってもらったんだよ。塗装の専門店で」  ならば見たことがないのは当然だ。 「いいでしょ、真っ白なボディにノーブルブルー。ブランドを自慢するより、おしゃれにしたくて。だってさ、もともとのやつだと色っぽくないんだもん」 「それは深刻な問題ですね」 「だよねー」  笑いながら女は頷いた。 「お兄さん、かなり車好きみたいね。ねえ、もう一ついいコト教えてあげるね」
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