2章 完全犯罪

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「いいこと、ですか?」 「あのね。駐禁って、きっぷ切られてもさ、罰金だけ払えば点数は減らないってこと知ってた?」  表面上は笑顔を浮かべていた紗川だが、内心では苦く思っていた。 (確信犯か)  誰が駐車したのか証拠がなければ、警察は逮捕することができない。最初は車にシールを貼って罰金の支払いを促し、それがなされない時は郵送で所有者の家に便りが届く。  その段階でも誰が運転していたか証拠がないため、特定の個人の免許の点数が減点されることはない。  彼女のいうとおり、罰金さえ払えば、罪がなかったことにされる。 「うふふ。警察公認の完全犯罪だよね」  実のところ証拠がないというより、そこまで手が回らないから、罰金を払ってもらう事で再発を防止したい――というのが警察の本音ではなかろうか。  常習犯だとすれば質が悪い。  車の状態から、金回りがいい様子が伺える。  コインパーキングに停めるよりも、余分に金を払っても構わないから便利なところに停めておきたいと考えているのかもしれない。  残念ながら、罰金が抑止力にならない人種も一定数いる。  この場合は車に乗れなくなる可能性を示唆した方がいいだろう。  紗川はそう判断すると、彼女の自慢には乗らずに肩をすくめるだけにとどめることにした。 「完全犯罪とはいかないかもしれませんよ。警察も記録していますから、常習犯の場合は免停になる可能性もあります」 「心配してくれてるんだ。やさしー。ありがとう」 =注意= 詳細はあえて書きませんが、 誰が止めたのか、明確な場合は点数も引かれます。 道路交通法をきちんと守りましょう~ 止めたらダメなところは、ちゃんと理由がありますので。
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