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「タカ姉か、ドアくらい自分で開けろよ」
「いいから早く! 荷物がいっぱいで手が離せないのよ」
樹乃は声色を強め少し不機嫌になる。
はぁ、マズイ、早く行かねば。
「ああ、わかったから。すぐ行く」
急ぎ玄関へ向えば、サムターンを回し開錠してドアを開けてやる。
「おかえり、タカ姉」
「ただいま! ハイ、これ持って」
ドアを開けると、同時に樹乃は両手いっぱいに提げた紙袋やビニール袋を俺へと渡してきた。
「おっ、重い! 何、買ったんだ?」
予想以上の重さに戸惑ってしまう。
「落とさないでね。卵入ってるから」
オレに注意を促すと、樹乃は玄関の段差に腰掛けると、編み上げのサンダルを脱いだ。
サンダルを脱ぎ玄関を上がった樹乃は、オレが持つ荷物の紙袋だけを選び取る。
「着替えてくるから、いつき、その荷物、冷蔵庫に入れて置いて」
そう言い残し樹乃は、二階へ上がって行く。
オレは手に持ったビニール袋を覗き込む。
ああ、今日の晩飯か。ビニール袋には、肉や野菜、卵など食材が入っていた。
俺は台所へ行き、冷蔵庫に食材を詰め込んだ。
おお! これこれ、冷蔵庫ってのはこうでなくちゃ。
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