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さっきまで、置物と化していた冷蔵庫が本来の目的に目覚めたな。
何か嬉しくなってしまう。
「上機嫌じゃない。いつき」
リビングへ降りて来たタカノが、台所に居るオレを見て声を掛けてきた。
「えっ、ああ、そうか」
オレは少し素っ気く返答する。
「もっと、落ち込んでると思ってだけど、意外と大丈夫そうね」
台所での、オレの様子を見たなら誰もがそう思うだろうな。
まあ、自分でも不思議と落ち着いてると思う。
ちょっと前まで、あんな事してたしな……あっ?! 違う違う、アレは一時的、気の迷いだから。
忘れろ! オレはブルブルと頭を振った。
「なに? 急に気持ち悪い」
オレの様子にタカノは、顔を曇らせて気味悪がる。
「ごめんごめん。何でもないから気にしないで」
オレは手をパタパタさせてタカノに謝った。
「まあいいわ。今から夕飯の支度するから」
タカノはエプロンを着けながら、台所へと歩いてくる。
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