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「いつき、それで、父さんが帰ったら私から事情を話すわ。いつきは、それまで部屋に篭ってて、変わり果てたあんたを目の前にして話なんかしたら、父さん混乱しそうだからね。話が済み次第、一階に呼ぶから。悪いけど、それまで、部屋で待ってて、それに、色々と順序立てて話した方が父さんも理解しやすいだろうしさ。樹里いいわね?」
ここは、タカノの言う通りにした方が上手くいきそうだ。
「わかった。タカ姉に任せるよ」
「よし、話は終わり。それじゃあ、夕飯作りますか!」
樹乃は腕を捲り気合い入れたならば、台所へと立つ。
暇だな、やる事がなくなった。自分の部屋で漫画読んだりゲームしたりして、時間を潰していたが、もう限界だ。
オヤジは既に帰宅している。
オヤジが帰宅して一時間以上経ってるのに、一向に呼ばれる気配がない。
早くして欲しいんだけどな。
ピロピロロッ!
机の上に置いてあるスマートフォンが鳴った。
スマートフォンを手に取って着信相手を見ると。おっ、樹乃か。
「はい、もしもし」
電話向こうから。
「いつき、話が終わったから降りて来て」
「おっ、うん、わかった」
少し吃りがちに返事したら電話を切る。
二階から一段一段、階段を降りる度に緊張感が増していく。
ああ、嫌な感じだ。何でこんな緊張しなきゃいかんのだ。
階段を降り廊下へ出ると、俺はリビングに入る扉の前で立ち止まった。
「スウゥゥ、ハアァ」
一度、深呼吸して気分を落ち着かせる。
よし、行くか!
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