第3話【オンナって大変!】

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第3話【オンナって大変!】

 リビングに入るとアンティークのダイニングテーブルに座る父親の姿が見えた。白髪混じりの黒髪を短く刈り込む相変わらずの髭面で、こちらを見ている。 「あっ、えぇ、おかえりオヤジ」  緊張してぎこちない挨拶をしてしまった。  はぁ、まいったな。意外にオレって繊細なのかも……。  椅子を引いてムックと無言で立ち上がると、オヤジがオレに近づいてくる。  うん? 何だか様子が変だな……。  目の前で立ち止まったオヤジの顔を見たなら、くしゃりと皺が集まり、瞳には涙を浮かべていた。  へっ、なんで? オレ、やらかしたか?  すると、突然! 「夕里乃(ユリノ)!」  オヤジは死んだお袋の名前を叫び、オレをガシッと抱きしめた!  オヤジの胸板に顔面が押し付けられる。  はうっ、強く抱き締め過ぎ、どうした? ボケ始めたか?  「いっ痛、苦しいオヤジ」  オヤジには全く俺の声が届いていない。 「ちょっと、何やってるの! 父さん、正気に戻って!」  樹乃(タカノ)が、オヤジの異変に気づき声を張り上げた! 「おっと、すまない取り乱してしまった」  その声にハッとなるオヤジは、力を抜きオレを解放する。 「急にどうしたのよ? 父さん」     
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