第7話【学校へ行こう】

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「そんなの知るか! それより暑苦しい、くっつくな。離れろ」  肩に回された手を払いのけ、春國を冷たい態度であしらった。 「まあまあ、そんな照れんなよ」  春國はニヤニヤとしたり顔でオレを見る。 「なっ、なんだそれ、照れてねぇし」  くっ、なんで動揺してんだオレは。 「ふっふっふ、そんな良かったか、いつき」  春國は尚もオレに絡んでくる。  腹立つわ! コイツ。 「馴れ馴れしいわ! オレに触るな、近づくな! 向こう行け」 「酷い言われよう……俺は悲しいよ。いつき」  口から出た言葉と態度が全然ちがう。  全く懲りてない、春國は顔をニヤつかせて嫌がるオレにベタベタと絡む。 「ハルっ! なんしよる! その子がいに嫌がっとるよ」  春國を叱責する声が聞こえた。  この聞き覚えのある方言は確か。  オレと春國は声のする方へ振り返ったーー瞬間! 「いっ、痛たたたた! 耳千切れちまう。何すんだ! やっ、やめろユキ!」  春國は悲鳴に近い声を上げ、顔を苦痛に歪めていた。  恐ろしく冷めた顔をした少女が、春國の耳たぶを引きちぎらんばかりに、キリキリと抓り引っ張り下げていた。  春國を痛めつけている少女の名前は、冬梅(フユウメ)雪子(ユキコ)。     
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