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「マジでなんもねぇ。だいたい、こいつは、樹里だぞ。この間ユキに話しただろ」
「この後に及んで、そんな嘘を」
「ホントだって、なぁ! いつき」
色々と思い巡らしている中、春國から不意に同意を求められた。
その言葉で、三人の視線がオレに集まる。
「えっ、あの、えっと、うん……そうです。信じて貰えないと思うけど……春國の言った事は本当だよ」
オレは恥ずかしさで目を伏し、ドギマギ、言葉を詰まらせながらも何とか口を開いた。
「はっ? まさかウソでしょ? いつき、なの」
「しんからイッチャンか?」
ユッコとミナギは、目を見開きパチパチさせながら、オレに言葉を返す。
「うん」
オレは二人にコクリと頷き返した。
「ほら、本当だったろ。俺は、ウソなんてついてないぜ」
何故か、春國は自慢気に言う。
コイツは、タイミングもクソもないな、オレの都合を考えない。
流石に、突拍子な話を聞いて二人は混乱している。
まあ、それが妥当な反応だろうな。
それにしても、朝から面倒臭せぇよ。
駅から学校までの道のりを歩きながら、ことの経緯を二人に掻い摘んで話してやり、原因となった薬の事は、絶対に秘密だと口止めした。序でに春國にも釘を刺す。
こんな事、学校の連中に暴露されたら恥ずかしくて憤死してしまう。
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