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「オレもわかんないよ。ところでオヤジからオレの事、何て言われたの?」
「ええ、なんやったかな……何でも世界で数例しかない難儀な病気にかかってもうて遺伝子に異常が起きた所為で女の子になったって聞いたわ」
こう言うの、何処かで聞いた事あるな。
当たり障りないように伝えてくれて助かる。
オヤジには感謝しないと。
「それより橘の事、他の先生方には、おいおいと伝えて行くから心配せんと先生に任しとき」
「ありがとう火野ちゃん」
「とりあえず、もうすぐ始業式やから先生と教室の方に行こか」
火野ちゃんは机に置いてた出席簿を手に取って立ち上がるとオレを連れて教室に向かったーー
火野ちゃんの背中越しに、教室が見えてきた。
ハァハァ、心臓、バクバクして変な汗が出てくる。
「なんや? 橘、緊張してるんか」
「いやっ、あの…………」
「そない緊張せんと、先に先生が教室入って大まかな説明するから、ちょっとだけ廊下で待っててや。直ぐ呼ぶからな」
オレにそう言うと、火野ちゃんは戸を開けて教室に入って行く。
「みんな、おはようさん! はよ席についてや」
ドア越しに火野ちゃんの声が聞こえてきた。
火野ちゃんのたわいも無いトークが終わったら、オレの話題を口にする。
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