サクラ咲くとき

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思い出せば色々な事が起こったりしましたが、「おツレさん」が居ることが当たり前の様になってきていました。 娘が卒業する頃、桜のつぼみが膨らみ始めました。 「最近、桜がチラホラ咲き始めてるけど、「おツレさん」まだ居る?」 「まだ居るよ。この前も学校の桜が咲き始めてて、桜に吸い寄せられるように近寄っていったから、成仏するのかと思ったんだけど、まだ違うって感じで私の傍に戻ってきた。」 「そうなんだね。でも、本当に桜が好きなんだね。満開になったら綺麗に咲いている所に連れて行ってあげないとね。」 そんな話をして数週間する頃には、あちこちで桜が満開になりました。 「そろそろ、「おツレさん」に桜を見せてあげなくちゃいけないね。夜桜も綺麗だから見せてあげようか。」 こんな話をして、夜桜を見せてあげることにしました。 私には見えない「おツレさん」だから、家のどこに居るか分からないので、 「「おツレさん」今から夜桜見に行きますよ~。着いて来てくださいね~。」 と声をかけました。傍から見たら滑稽な様子だと思います。 そして、車に乗り込み、娘を連れて出発しました。
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