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 忌引きを終えた後、そのまま夏休みに突入してしまった。陸子叔母さんたちがすべてを助けてくれていた頃は、何とか美里は人間らしい生活を保っていた。誰かと会話をすることで頭の中から母を追い出すことができた。 「夏休みの間、うちに来る?」 「これからのことは夏休みにゆっくり考えれば」  陸子叔母さんはそう提案してくれたが、美里の心は重かった。確かに陸子叔母さんの家に行けば、気も紛れるだろう。 食べるものにも困らない。大学生のいとこの亜実ちゃんも帰ってくると言っていたし──。  美里はかなり迷ったが、「少し家の片付けをしながら考えさせてください」と保留にした。陸子叔母さんは、美里の返答を尊重してくれた。 しばらく考えこむような顔をした後、 「じゃ、うちに来たくなったらいつでも連絡してね」  にこやかに言い置いて、家に帰って行った。叔母さんが考えているような顔をしている間、「美里ちゃんはこの家で奈々枝との思い出に一人で浸りたいのよね」とつぶやく心の声がはっきり聞こえるような気がした。 ──そうかもしれない。でもうまく説明できない。     
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