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ふとひときわ明るいガラス張りの店舗が目に入ってきた。少しは自分に優しくしてやるかと普段は立ち寄らないそのアイスクリーム店に入る。
「ん?何、コスプレか?」
アイスクリームのショーケースを食い入るように見つめていたのは、背の高い外国人の男性。どこかの国の民族衣装のようなものを身にまとっている。忘年会で着たディスカウントストアの安っぽいやつとは違うな、しっかりした生地だし見事な刺繍、高そうだとその服装を譲はまじまじと眺めた。
「お決まりでしょうか?」
売り子の元気な声にその男はきらきらとした瞳をして何かを指さした。
「ストロベリーですね。サイズはどうなさいますか?」
写真を見せながら可愛いお姉さんが対応している。「ああ、ここの制服可愛い。ミニスカートから出るあの絶対領域は最高」ぼんやりと二人を眺めながら自分の順番を待っていた。アイスクリームを受け取った男性は、微笑みを返すとそのままカウンターを離れた。
「お客様、お会計が!」
慌てる女性の差し出した手をその男はすっと取った。えっ、スマイルはプライスレスと言うことなのかと譲は驚いた。
「えっ?え?あの350円になります」
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