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悪党どもの巣窟は、時代が変わっても似たようなもの。奴らは昔からまぬけな顔をしている。馬鹿どもめら。何人かかっても、あのひとに敵うわけがない。マシンガン、拳銃、ナイフ。鉛の弾ではあのひとを殺せない。彼を殺せるのは銀の弾、聖なる金属。
もうじき日が昇る。そう、すべての痕跡を消し、邪悪な屍を蘇らせないために、あなたは夜明け前に戦う。
はじまった、愚かな人間ども、慌ててももう遅い。本当の悪の姿を知るが良い。
次から次へ、喉笛が切裂かれる。なんて残忍なの。憎しみ、目をぎらつかせたあなたを初めて見た。人間どもは身体をもがれ、骨と肉がむき出しだ。
思ったとおり。あなたは凶暴さを内に秘める。今、本性が解き放たれた。なんて美しい悪魔なの!
もう何十年も昔、あなたが長い眠りから目覚めた時。そう、人間とは違う運命を歩み始めた時。あなたは餓えと闘いながら、血を吸うことを拒み続けた。今、判ったでしょ。人間はわたしたちにとって餌でしかない。十分堪能するが良い。
夜明けですって、そんなことは判っている! いまいましい。従順な振りをした下僕め。おまえは醜いただの人間にすぎない。永遠の命のために卑屈なまでにかしずく。約束しよう。おまえの血は吸わぬ。人間として老いさらばえ朽ち果てるが良い。お前の嫉妬のせいで、あの人は死を選んだ。
この柩(ベット)に横たわろう。ああ、もうあの人は、二度とわたしの目の前にあらわれない。わたしが愛したただひとりのひと。
目覚めたとき、わたしはひとり・・・。
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