第1章

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ーー好きな人と同じクラスなのって、嬉しいけど困ることもあるんだ。 さりげなく視線をそらしながら、私は小さく溜め息をついた。 授業中も休み時間もお昼の時間も、ふと気付くと、目で加瀬くんを追っている。 無意識に、加瀬くんの姿を探してしまう。 今も、窓際の壁に軽くもたれながら、数人のクラスメイトと話をしている加瀬くんを見つけ、窓の外を見るふりをして、何度もその姿を自分の視界の中に入れてしまっている。 ……やっぱり、カッコいいな。 立っているだけでも、どこか絵になる姿に見とれていると、 「また、見てるっ」 さつきが、ニヤニヤしながら冷やかしてきた。 「もー、梨奈ってば。そんなに見たいなら、2人の時にじっくり見せてもらえば。彼氏なんだから」 さつきには想いを確かめあったあの日のうちに、加瀬くんと付き合い始めたことを報告していた。 「一緒にいる時は、まともに顔見れないもん。フリーズしちゃいそうだから」 「え?それ、もう克服したんじゃなかったの?」 「ううん、全然だよ。でもね、加瀬くんといるとフリーズしてたのに、いつの間にか話せるようになる時があるの。 気がついたら、言葉が先に出てた……みたいに突然」 「ふーん。愛の力ってやつかな」 さつきが、感心したように言ったその時、 「おーい、加瀬」 廊下から加瀬くんを呼ぶ声が聞こえて、私は反射的にそっちの方に目を向けた。
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