第1章

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「広崎と2人の時はめちゃめちゃ嬉しくて、そんなこと思わないけど、広崎があいつと楽しそうに話してたり、気軽に何でも相談したり、そういうの見ると、さ……」 「あの……あいつって、誰のこと?」 加瀬くんは、ちょっとふてくされたような顔をして、ボソッと呟いた。 「……三浦だよ。 広崎、いつも三浦と話す時は、自然な感じで楽しそうに話してるし、 携帯ストラップのことだって、あいつには自分から話してただろ」 「それは、だって……」 「……ごめん」 加瀬くんは、バツが悪そうに髪をクシャッとする。 「今の、忘れて」 「で、でも」 「俺が勝手に、三浦に嫉妬してるだけだから」 「え……」 加瀬くんが三浦くん、に……嫉妬? 「もう行こう。バスに乗り遅れるよ」 何もなかったように自転車をひいて歩き出した加瀬くんの背中を、私は胸がいっぱいになりながら、後ろから見つめた。 ……私、自分のことで精一杯で、気づかなかった。 私がフリーズすることで、 三浦くんとは、気軽に話をすることで、 いつの間にか、加瀬くんを不安にさせていたなんて……。 すごく、すごく、大好きな人なのに。
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