第1章

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廊下には加瀬くんを呼んだ同じクラスの男子と、栗色のショートヘアーの可愛いらしい女の子が立っていた。 同じ学年ではないから、多分1年生。 パッチリとした瞳で、ちょっとベビーフェイスな顔つきは、同性の私から見てもかわいいな、と思う。 加瀬くんは彼女の姿を見つけると、「あ」という顔をして廊下へ向かって歩き出した。 加瀬くんの周りにいた男子は、興味津々といった様子で見守っている。 彼女は加瀬くんの顔を見ると、申し訳なさそうな顔をして言った。 「お昼休みにごめんなさい、先輩。迷惑ですよね。私、そういうの気が利かなくて」 しゅん、とする彼女に加瀬くんは、優しい声で話しかける。 「いや、いいよ。話してただけだから。何?」 「これ、早く渡したくて」 彼女が差し出したのは、サッカーのユニフォームがぶら下がった、携帯ストラップだった。 「うわ、これどこにあった?俺、もう見つからないと思って、諦めてたんだよね。」 「今朝、自転車置き場で見つけたんです。先輩が探してるといけないと思って、私それで……」 「わざわざサンキュ。助かったよ」 加瀬くんが、クシャッと微笑むのと同時に、彼女の頬がぽっと赤く染まった。
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