第4章

2/16
320人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
加瀬くんの合宿が終わり、数日が経った。 夏休みの図書室開放日の今日は、部活以外で登校する生徒の姿もちらほらと見える。 宿題を口実に学校へ来た私は、グラウンドが見える窓側の席を陣取った。 ここなら、加瀬くんが見えるかもしれない。 まだどの部活も練習が始まったばかりで、色々な部活の生徒が喋りながら、グラウンドを走っている。 練習前のウォーミングアップ、といったところだろう。 その集団の中に加瀬くんの姿を探してみるが、なかなか見つけられない。 懸命に目を凝らして見ていると、男子がほとんどの集団の中に、相沢さんの姿を見つけた。 大きめな白のTシャツの袖を少し捲って着た姿は、男子に混ざると余計にかわいらしく見える。 相沢さんは、他のマネージャーの女の子と一緒に何か話しながら、時々前方を気にしているようだ。 相沢さんが走る、その先をたどると加瀬くんの姿があった。 「いいなあ」 夏休みも加瀬くんの近くにいられる相沢さんを羨ましく思いながら、私は走る加瀬くんの姿を目で追っていた。 走り終えるとみんな、それぞれの部活ごとに別れていく。 と、先に走り終えた加瀬くんの元へ、相沢さんがよろよろと駆け寄ってきて、その場にぺたんと座り込んでしまった。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!