私が死んだ理由

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高温のサウナの中にいるようで眩暈がする。なんだか焦げ臭くなってきた。 「頼む、助けてくれ」私は手を伸ばして野村教授に触れようとしたが彼には実体がない。 ──幽霊になった僕にしてあげられることはもうありません。大人しく死を受け入れてください。 棺の中で喉が張り裂けんばかりに叫び続けたが無駄だった。私の身体はあっという間に炎に包まれた……。 こうして、私の葬儀はしめやかに行われた。私が生きたまま火葬されたことを知る者は少ない。 目を覚ました佐竹たちは、棺が葬儀場から消えていることに気付くと、顔面蒼白になり、お互いにこのことは他言しないように誓い合うと、逃げるようにして東京へと帰っていった。 このドッキリについて知っているのは私と彼らだけ。自分たちさえ黙っていれば、すべて闇に葬れると思ったのだろう。ひどい奴らだ。
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