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そんな最悪な出会いだったのに、いつの間にか、三人で仲良くなっていたから不思議。 「最初はさ、星奈もその辺の女みたいな、うざい慶斗ファンだと思ったもんな」 裕之介はあのときのことをよく思い出して笑う。 「ひどいなぁ。裕之介こそ、初対面で、『気安く話しかけるな』、なんて。いったい何様かと思ったよ」 私が言うと、慶斗も苦笑いする。 「いや、俺が女子にいっぱい話しかけられてうんざりしてたから、裕之介がかばおうとしてくれたんだよな」 あの日の帰り、マンションのエントランスで出会ったとき、慶斗は居心地が悪そうに、「同じマンションだったんだ、ごめん」と謝ってくれた。それからエントランスでぽつぽつ話すようになった。 慶斗は、去年転校してきて以来、興味本位の女の子たちが近づいてくるのが、嫌だったらしい。新学年初日も、同じクラスになった子がいっせいに、連絡先を聞いたり、彼女がいるか聞いたりしてきて、疲れたところだったと聞いた。 そこにきついことを言っても、逆に言い返してくる強気の女子が現れたのが私だった。 「星奈は他の女子と違って、はっきりしてて話しやすい」 と、慶斗の親友の裕之介も一緒に、学校でも三人で話すことが増えていった。 慶斗は女子は嫌いでうざいと言う。はっきり文句も言うし、好かれようとも思っていない私は、珍しく話しやすい女子だったらしい。
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