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『パーティーは、楽しんでいただけましたか?』
もはやイタリア語さえも使わず、優雅に微笑むフレデリックの声音は表面上穏やかだった。だが、その目が笑っていない事は見えずともその場の誰もが理解している。
何事かを呟きながら、最後まで虚勢を張る男たちにフレデリックが笑った。
『そう心配しなくとも、キミたちの想像通りの殺し方をしてあげる。キミのお友達が、二度と僕たちに手を出すような愚かな真似をせずに済むように、ね』
庭へと降り立ったのは、クリストファーだった。腕を支えられ、辛うじて上体を起こしている二人の侵入者を交互に見る。
『お前にしよう』
前髪を掴み上げ、上向かせた男の顔に膝がめり込んだ。ほんの一瞬の出来事に、隣の男の顔から血の気が引いていく。
悲鳴を上げる男の口から血に塗れた歯がボロボロと落ちるのを、クリストファーは可笑しそうに見下ろした。
『どうせもう食事をすることもないんだ。歯がなくなっても問題はないだろう?』
歯がなくなっても…と、そう言いながら、クリストファーの手は止まることなく躰にあるべきものを容赦なく引き剥がしていく。
さすがにすぐ目の前で仲間が無残な姿になっていくのは見ていられないのか、悲鳴とも懇願ともつかぬ声がもう一人の男からは上がり続けた。
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