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目を覆わんばかりの行為がクリストファーの手によってなされる中、フレデリックの隣へと移動した辰巳は煙草を咥える。
「容赦もねぇな」
「当然だね」
「俺ぁお前らとだけは喧嘩したくねぇよ」
「ふふっ。僕も、キミと喧嘩はしたくない」
キミがマフィアでなくて良かったと、フレデリックは囁いた。
「たとえマフィアだったとしても、お前らみてぇなおっかねぇのに喧嘩は売らねぇだろうよ」
「キミ自身がそうだったとしても、組織というのは個人よりも遥かに優先されるものだよ。それに従えないのなら淘汰されるだけだ。もしくは、力を手に入れる努力をするか。……彼らのようにね」
「お前らは手柄を立てるに足る相手って訳か?」
「冗談だろう? 彼らには荷が勝ちすぎるよ」
さらりと言ってのけるフレデリックはクスクスと笑い声をあげた。
「僕たちは、イタリアの利権に興味がなかった。なのにこうして強欲な彼らは手を伸ばす。まったくもって理解が出来ないね。古くからの取り決めを無視した後に何が起こるのかを、彼らはこれから知る事になる」
レナルドは権利を守ると言ったが、フレデリックとクリストファーの意見は少々違っている。
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