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プライドで感情を押し殺しつつ
「め、珍しい事もあるものだな」
ーーーあ、ちょっと声が上擦った・・・!
見えない角度でルトは笑いをこらえた。
慌てて振り返ったが、ルトは澄ました顔で知らん顔。
「サイズ、いかがですか?」
「あ、ああ、大丈夫・・・」
「良うございました」
肩からマントを掛ける。
「・・・本当に、ありがとうございます」
不意に感謝を口にされ、驚いて参謀を振り返った。
「シミーヤは、ああ見えて人に心を開かないのです」
「私に対してもそう心を開いている様には見えないが?」
「いいえ」
優しい面立ちの彼が微笑むと、それだけで聖母の様だった。
「全然違いますよ?とても、ええ、とてもあなたを信頼しています」
「・・・私は、シンの事を何も知らない」
ーーー信頼しているというのなら、なぜ話してくれない?
「自分の全てを話すと言うことは、自分の過去を思い出さなければいけないんですよ」
当たり前の事なんですがね、と続ける。
「あの子にとって、思い出したい過去ではないんでしょう」
「ルトは・・・」
「なぜ知っているのか、でしょう?」
「・・・・・・」
「偶然ね、見たのです。あの子の過去を」
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