イバーダード

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「見た?」 「ええ、精神世界に取り込まれた、というのでしょうか?ですから、あの子が忘れている事も、知らない事も、私は知っております」 「・・・・・・」 「お教えいたしませんよ?」 「・・・・・・」 「そんなお顔なさってもダメです」 ちょっと頬を膨らませ、ついっと視線を反らしたゼナフィラの横顔を見て、ルトは苦笑しながらため息を付いた。 「では、ひとつだけ」 前置いた参謀は、唇に人差し指を当てて小さな声で続けた。 「我が国では合成獣キメラを許しておりません」 「えっ!?だって、シンは・・・」 「ですから、シミーヤは違法に造られた合成獣キメラなのですよ」 「・・・・・・」 「国中が知っていて、そのほとんどが合成獣キメラを憎んでいます」 「そんな・・・」 「合成獣キメラは国王に忠誠を誓っている、と、宣言する事でシミーヤの身の安全を図ってみましたが、事はそう簡単ではなかった」 亜麻色の参謀はゼナフィラの服を軽く畳みながら続けた。 「謂われない嫌がらせや暴力を受ける事は日常。その強大な力を欲して、友人を盾に脅される事もしばしば。国王でさえ、あの子を守ってやれない自分の無力さに、王座を降りようかとも考えた時期がありました」 「・・・・・・」 「国に居て死を望むほどに辛い思いをするのなら、国外に出た方がいい。そうして、国の大事にその力を使う事で、少しずつでも受け入れてもらえれば」 「・・・都合が良すぎるんじゃないのか?」
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