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「さて、今回予期せぬ事とはいえ、我が国へのご訪問、歓迎させていただきます。国王ガダンファルにも紹介させていただきますが・・・とりあえず、お召し替えを、いかがでしょうか?」
やんわりと言われて自身を省みれば、寝巻きにガウン。
足元はスリッパと、おおよそ人前に出られる格好ではなかった。
「私の方から、今回の件についてお話させていただきながら、お召し替えをお手伝わせていただきましょう。シミーヤ、あなたはまず陛下にご挨拶だけしておきなさい。挨拶だけでいいですよ」
なぜ二回言った?
シンの方はと見れば、ひどく不安気な顔でゼナフィラを見上げている。
それでも、恭しく礼をしてシンは下がった。
耳も尻尾も垂れ気味で、ショボくれた様子で去っていく。
その後ろ姿を見送りながら、左の耳に大きな輪が光っているのをぼんやり眺めた。
ーーーあんな耳飾り、付けてたっけ?
ルトがゼナフィラを指し招き、歩き始めた。
何処かの建物の裏手だろうか、白い壁に沿って歩を進める。
「大丈夫ですか?」
「・・・ああ」
「意外と魔法耐性がおありなのかも知れませんね」
「・・・?」
「時空間を越えるのは、体に負担が掛かるのです。シミーヤはもちろん、私も慣れておりますのでどうとはありませんが、慣れない方や魔法を使われない方には、防護壁を作って差し上げるのですよ、普通は」
「そう、なのか?」
「ええ、あれだけで済んだのにびっくりです」
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