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「ところで、ルト殿」
「ルト、でけっこうですよ」
「何故シンをここへ?」
裏口らしき扉の前で立ち止まった。
「本来なら、このようなところから入っていただきたくはないのですが、ご容赦ください」
そう前置いて扉を開けて進む。
後を付いて行きながら、ルトの言葉に耳を向けた。
「シミーヤの封印を解かれましたね?それも完全に」
「ん、ああ」
「砂河様の仕業ですねぇ、シミーヤだけではああはいきません」
「ずいぶんシンの事に詳しいんだな」
「そうですね。たぶん本人より知っていると自負いたしております」
しれっとうそぶく。
「そう、今回帰らせた目的でしたね。もう一度封印を施すためですよ」
「何故?」
「力が強すぎて暴走する可能性があるからです。魔力不足は危険ですから」
「・・・」
「ゼナフィラ様は、シミーヤと関係を持っていらっしゃるのでしょう?」
何の関係かは、言わずもがな。
「封印を解いた後、魔力がいっぱいになった事がありましたか?」
「・・・ない」
あの小さな黒い魔法使いは、人間の体液を魔力に変換する。
契約者の体液なら、更に変換効率がいい。
ゼナフィラの方でも好いた相手を抱く大義名分があるのだから遠慮はしない、のだが・・・。
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