イバーダード

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「そいういう事です。容量が大き過ぎて常に魔力が不足しているのです。どこの世界も、この国の様にマナが豊富とは限りません。ですから、封印を施し、容量を小さくする事で、魔力がある程度いっぱいな状態にしておくのです」 「どれくらいかかるんだ?その封印は」 「そうですね。今回は若干時間がかかります。1年程みていただければ」 「1年!?さっきシンは明日の朝には帰ると・・・」 「ここへ来るのに、私は魔法転移と時渡りを使っております」 「つまり、明日の朝までの時間に戻れると?」 「飲み込みがお早くていらっしゃる」 途中、誰ともすれ違わずに部屋の前で立ち止まった。 扉を開けると、ゼナフィラを促す。 いたってシンプルな部屋だった。 上質ではあるが、装飾の少ない家具。 生活感のない部屋の中で、机の上だけが雑然と散らかっていた。 「散らかってますが、お構い無く」 さっさと隣の部屋へ向かう。 後に付いて行きながら、机の書類に目をやった。 ーーー全然読めない・・・。 国王という役職柄、十数ヵ国の言葉に精通している。 文書もある程度読めなければ、迂闊にサインも出来ない。 ーーー言葉は、通じているのにな。あ、そういう魔法?
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