或る魔法使いの話

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歩きながら、魔法使いは考えます。 必要悪とはなんだろう。 自分の魔法は、どうすればみんなを幸せにできるのだろう。 みんなが幸せである方法は、あるのだろうか。 街に出ればこどもがいて、怪我もあります。魔法使いは、怪我を自分に移しながら、歩きました。 そうすれば、怪我は自然と増えていきます。次は何に移そう。考えていると、ふと気づきました。 魔法使いにとって、痛みがあまり痛くないのです。 今までたくさん傷を受けてきたので、当然といえば当然でした。 そう考えると、今まで考えていたことの答えが見えてきました。 みんなが幸せになるためには、自分ひとりが怪我をすべて受け持てばよい、と。
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