同級生

5/10
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
私はどうしても幽霊の本が欲しくなり、四十円を支払い、クジを二回引かせて貰いました。 「おしかったね。二回ともハズレだよ。はい、ハズレは幽霊の人形だよ」 なんだあハズレかあ。 私は婆さんから紙で出来た幽霊の人形をふたつ受け取りました。 「夜になると青く光るからね」 婆さんの説明を受けて人形を見ました。人形には夜光塗料が塗ってあるようでした。 「うーん。仕方ない。ストローゼリーちょうだい」 私は残りの十円でストロー状のプラスチック容器に入ったゼリー菓子を買いました。そして、駄菓子屋の木製の椅子に腰掛けました。 私は、まるで時代劇の火消しの親分がキセルをくわえるかのような粋な仕草で、細くて長いゼリー菓子を少しずつ食べました。 平成の今、あの頃を思い出すと自分で自分が滑稽ですが、当時の子供には当時の子供なりの、駄菓子屋での粋な過ごし方というものがあったのでした。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!