同級生

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私が紙で出来た幽霊の人形ふたつを手に、そろそろ帰ろうかと思い立った頃、近所に住む同じクラスのM子ちゃんが駄菓子屋にふいに現れました。 M子ちゃんは、引っ越ししたばかりの私とすぐに友達になってくれた女子児童の中のひとりです。 天気や気温に関係無く、いつも短パンを履いている元気な姿が印象的な子でした。 「S君、それなあに」 「幽霊クジ。しかもハズレ」 私は、幽霊クジについて駄菓子屋の婆さんに成り代わって説明をしたところ、M子ちゃんは興味を示したようでした。 「ハズレでも、幽霊の人形が貰えるからね」 客である私を留守番代わりに、一時的にちゃっかり姿を消していた駄菓子屋の婆さんが何処からともなく再び現れました。 「おばちゃん、私も一回やってみる」 M子ちゃんは二十円を払います。当時の二十円は、小学生にとって決して安い金額ではありません。 私は固唾を飲んで見守りました。 「あら、おめでとう。一等当たりだよ!はい、幽霊の本をあげるからね」 「わあ、おばちゃんありがとう」 M子ちゃんは幽霊の本を受けとりました。 そして、M子ちゃんは二重の大きな目を輝かせながら私へ言いました。 「S君、校庭で幽霊の本を一緒に見ようよ」 「えっ!いいの?見よう見よう」 私達は、校庭を目指して走りました。校庭は駄菓子屋から百メートルぐらいの距離です。 疲れを知らない子供の足ですぐに辿り着きました。
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