8 フーリエ

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8 フーリエ

 2011年3月12日  大学卒業まで残り1年だ。村崎巧はSPIの勉強をしていた。震災の関係でニュースかACのCMしかやっていない。はじめての経験だ。  フーリエ級数展開とは心臓の音やバイオリンの音色など周期的なものは三角関数で求められるそうだ。命の鼓動も数式で組み立てることが出来るってことか?  確かにバイオリンの音もシンセサイザーを組み合わせることで同じ音になる。  巧は高校時代にバンドをやっていた。故郷は仙台だが家族は無事だった。野蒜地区の友達とは音信不通だ。  牛タンの味が恋しい。  太陽もフーリエで7色に分解できる。赤・オレンジ・黄色・黄緑・緑・青・紫。  ブラック企業とホワイトカラーは仲間はずれだ。 『ヤル気はいいから実績が欲しいんだ』  コンビニの店長によく言われている。 『体を壊した?おいおい、困るよ?這ってでも出てくるでしょ?』  震災か、大迷惑だ!また景気が悪くなる。 「菅さん降ろしどころじゃなくなったねぇ」  兄貴のトオルが言った。兄貴は、ビーバップを気取ってるのか?いつもリーゼントスタイルだ。  カイワレ首相も大変なこった。枝豆従え、東奔西走。  宇都宮の灯りが窓の下に見える。  ケータイが鳴った。  古い友人からだった。  またマーメイドで人が死んだらしい。  尾藤は悩んでいた。  戸村の白骨死体が見つかってしまった。確かに射殺したのに射殺ではなく、絞殺だったのだ。  殺したと思い込んでいたのだろうか?  殺人ロボを開発してしまうくらいだ。  戸村自身がサイボーグってことも考えられる。
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