9 自走砲

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9 自走砲

 日向は新宿にやって来た。  フランスのイムルーノ社が開発した自走砲が靖国通りを走っている。  雪坂シホが64式小銃を持って現れた。    口径は7,62ミリ・51NATO弾を使う。    食品は水分によって活性する!  活性するときに細菌が増加する。  雪坂シホは食品人間だ。水分を加えると細菌が増殖する。  雨が降ってきた。  雪坂シホが悪臭を漂わせている。  「クセーぞおまえ?」 「臭いって言わないで!」  自走砲によってシホは撃たれた!  シホは死んだ。 「臭かったけど愛していたんだ」  霊安室で沖田が言った。 「マーメイドは?」 「日向、さすがの俺でも恋人が死んだ夜にクラブになんか行かないぞ?」 「そっちじゃなくて銃の方だ」 「最近、変な電話があったんだ?マーメイドを使わないで1週間過ごせば1万やるって。もしかしたら、クラブの方だったのかな?同じ手口で何人もターゲットにされてんじゃん?」 「まぁ、そうすりゃあマーメイドの集客率は減るわな?」  沖田はクラブマーメイドでの事件を思い出していた。酒に酔った女がアイスピックで襲いかかってきた。身を守る為にマーメイドで射殺した。  及川千鶴って38歳の独身女だった。 『誰でもいいから殺したい』ってよく、派遣仲間にはグチっていたらしい。  20歳以上40歳未満の独身女は射殺したら別離が訪れる。沖田は悔やんだ。どうして、マーメイドではなくニューナンブを携帯しなかったのだろう? 「シホを殺したのは俺だ」 「沖田、あんまり自分を責めるなよ?」 「日向、俺にコイツを撃つ資格はない。おまえに預けるよ?」  
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