1 シックスソード

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 沖田はマーメイドって銃を手にしていた。無限に弾が出るんだ。 「カニカマ工場で殺し?」   ガラケーを耳に当て谷村は言った。  夕凪警察署の刑事課主任だ。  2人は夕凪駅近くのパチンコで遊んでいた。   スロットをやったが全然出ない。   山下埠頭にカジノ施設が建設されるらしい。楽しみだ。  《遊んでないで現場へ急ぎなさい》   刑事課長の柴野が言った。父親は市議会議員(元県警本部長)だ。柴野Jr.は歌舞伎役者の女形みたいなキャラだ。    ボルボのクラクションがプップーと鳴った。相棒の日向が「乗れよ?」ってぶっきらぼうに言った。    夜明けの国道をボルボが疾走する。  沖田はマイルドセブンをくわえた。今はメビウスと名前が変わったが、どうもしっくりこない。   車内では尾崎豊のBOWが流れていた。《午後4時の工場のサイレンが鳴る》  「これ、回帰線だろ?」   回帰線はアルバムのタイトル名だ。  沖田はヤニの染みついた人差し指で鼻の頭を掻いた。  「彼女から借りたんだ」  工場のなかは慌ただしかった。 「sixswordか、ここの蟹チャーハン美味しいよな?」keepoutという黄色と黒のシマシマロープを潜りながら沖田が言った。   「シックスソード、6つの剣」  日向がブツブツ呟く。  現場は会議室だった。死体は壁に凭れるようにあった。脳ミソと赤黒い血をぶちまけていた。   沖田は吐き気を必死で堪えていた。  「拳銃かぁ、シルバースターの仕業かな?」    シルバースターはヤバイ連中だ。  死体から目を背け日向が言った。   鑑識係がガイシャを死体袋に入れ、搬送する。   第1発見者である総務部の蒲生を連れ、ボルボに向かう。現場は日向に任せることにした。   蒲生からガイシャの名前が塩崎慎太郎であることを教えてもらった。  塩崎は去年入社した大卒生だが、イロイロとトラブルの多い奴だったらしい。  助手席に座るなり蒲生は震えはじめた。 「大丈夫ですか?」   「すみません。恐怖のあまりに」 「無理もありませんよ。何か心当たりは?」  「弊社は、景気の冷え込みのせいでガタガタです。クッパファイナンスがスポンサーとして参入する予定になっていたのですが」   塩崎を殺したのはクッパの奴らだろうか?   sixsword再建に伴う争奪戦の末の…?様々な情報を仕入れ工場に戻ると、柴野が立っていた。 「気になることがあります」  
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