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 そして「ところで」と話題を変えようとする。 「それには、慣れないね」 「それとは、なんですか」 「きみの充電方法。なんで頭頂部なのさ」  座るわたしの膝には今、保護用毛髪が乗っている。ヒューマンの黒髪を模したそれは、風になびいてサラサラと宙を流れた。  剥き出しの頭上太陽パネルでは、今日も調子良くエネルギーを充電してる。 「一番上にあるので、効率が良いのでしょう」 「きみの設計者に文句を言いたいね」  せっかく可愛いのに、とドッドは言う。  「可愛い」は、女性にとっての誉め言葉ではなかっただろうか。ドッドはアンドロイド二世であるわたしにさえ、ヒューマン女に対するような言動をする。  それがわたしの内の単純なる感情プログラムでは「嬉しい」や「喜び」に繋がる。  他者との関わりで生まれる感情プログラム。それは負荷は大きいものの、とても気持ちの良いものだとわたしは思った。
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