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水色の画面が真っ黒の画面になり一人の少女が映し出された。頭の左側には青い蝶のような大きなリボン、薄い桃色の腰まである長い髪、女子高生のような制服姿で腰には華奢な少女にはアンバランスな一対の双剣が携えられている。
「カグヤ?」
タクトは少女の名を呼んだ。膝を抱えていたカグヤはタクトの存在に気が付くと慌てて立ち上り身だしなみを整えた。
「タ、タクト!?どうしたの?今日は友達と約束があるって……」
「ん~~今ちょっと別行動中。」
「そっか。呼んでくれたのは嬉しいけど、別行動は終わりみたいよ?」
カグヤが言い終わると同時にタクトで肩に手が乗せられた。驚き振り返ると伊木塔ナオキが大きなビニール袋を持って立っていた。
「よう!待たせな!中々良いPCが見つからなくてさ」
「いーよ。こっちもまだ時間かかりそうだし……」
タクトが視線を送った先のカウンターでは店員が忙しなく業務をこなしていた。人が捌けては並び捌けては並びと途切れることのない列が忙しさを物語っている。ナオキも時間が掛かるのを察するとタクトと同じくD・Aを動かした。
真っ黒な画面に同化してしまいそうなくらい真っ黒な狼。伏せた姿から起き上がる動きだけで王者の風格が伝わってくる。
「ロウガ、今から戦闘いいか?」
「構わんが?」
ロウガと呼ばれた黒い狼が欠伸しながら返事をした。
「タクトとカグヤちゃんもいいよな?」
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