呪いと少年・2

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呪いと少年・2

雨は一晩と保たず朝になる前には止んでいた。昨日と同等以上に厳しい特訓になるだろうと気合いを入れて望んだが、精々学校の体育程度の運動量しかなかった。それに終始カグヤの態度がおかしかったのも気がかりだ。変に余所余所しいというか他人行儀というか……。 「元気ないみたいだけど大丈夫?」 額の汗を拭うと筋肉痛の体を動かしカグヤの顔を覗いた。 「そ、そんなことないよ! 元気元気」 両手を振り否定するがやはりどこか元気がない。 「え、え……と、コート返しに行ってくるね」 呼び止めても小走りのカグヤは止まらず直ぐに姿を消してしまった。 「どう……したんだろ?」 昨日の特訓は確かに厳しかった……が、タクトはそんなこと微塵も気にしてない。むしろ、厳しいのが当たり前だと思っている。だからカグヤがそのことを気にしているのも、その事でタクトから距離をとられるのではないかと畏れているということにも思い至るはずもなかった。
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