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開く距離
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暑くてどうしようもない朝。
東北はいつも涼しくていいね、なんて言っていたのは誰だったか。そんな誰かに怒りをぶつけたくなる。
肩にかかる髪がうっとおしい。風もない夏の朝は容赦なく体力を奪っていく。
「暑い」
テレビでは最高記憶が何度だとか、この夏最高になりそうだとか、暑くなりそうなニュースばかり。秋の気配が見えてこないまま、夏休みという至福の時間は終わってしまった。
夏休みを終えて初日の学校は朝から苦痛の連続。
仮病でも使って休みたくなるのを我慢して、歩いている学生の波にわたしも加わった。
昨夜降った雨の影響でまだ濡れている道路。所々にある水たまりの照り返しが眩しい。
高校へと足を進める足は重い。憂鬱だ。
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