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「……おはよう」
「お、おはよう」
いつもの待ち合わせ場所にいた彼、光哉は少しだけ穏やかな顔をする。
全体的に短く整った黒髪。日に焼けた肌は応援部に所属しているから。誰が見ても男らしくて恰好いい。
夏休み中も、わたしは様々な大会でその姿を目にしてきた。
「行こうか」
「……うん」
光哉はすぐに前を向いて歩き出す。わたしは慌てて着いていく。
朝の光は強くて迷いがない。まるで彼のようだとわたしは思う。
その光は優しかったり、厳しかったり、弱く強く。惑わず真っ直ぐに見つめる光哉の瞳を思い出す。
その瞳を信じていた。その言葉に涙するほど嬉しかったはずなのに。
「ねえ、宿題やった? すぐテストだよね」
「それは言わないで。本当に最悪だよ」
学校に近づく度に人が増えていく。夏休み明け初日ということもあって、宿題やテストについて話す生徒が多い。
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