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こんな展開、予想出来るはずもなく戸惑うばかりだった自分を思い出す。
それを光哉は断られたと勘違いして、謝って去ろうとした。わたしは慌てて手を握って止めた。
今はそこまでの勇気がなくなってしまった。
花開くのを躊躇う朝顔みたいに、蕾のままで震えている。
『登下校、一緒にいてもいい?』
それは告白のつもりだった。
好きな人と一緒に学校に行き、手を繋いで帰る。映画やドラマで観てからの憧れ。
光哉とそうなりたいと、ずっと思っていたのに。
あの日以来聞いていない、光哉の気持ち。同じく告げていないわたしの気持ち。
憧れの登下校は思っていたものと違って、ただ心細くなるだけ。
――――付き合っている意味、あるのかな……。
ふと思う。
念願の恋人になれたはずなのに、これでは恋人とは言えない。友達とも違う。
一体、どんな関係なの?
そうやって自問自答を繰り返し、もやもやしたまま学校まで歩いた。
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