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冷蔵庫の扉に手をかけようとしたと同時になにかに足を取られた。勢いづいて真後ろに倒れる。ヤバイ、なにが起きたのかわからんちん。後ろ向きに倒れるってあんま良くないんじゃないか? っていうか足、ニュルッとした。ニュルッとしたもので足滑らせた。なになになにに。
スローモーションで真後ろに倒れる視界の遠くに黄色くて長いものが空を舞っているのが映った。あれは、まさかのバナナの皮。
あれに足をとられたのか。バナナの皮はゴミ箱に放ったはず。子どもの頃からのノーコンが健在していたのか。バナナの皮がゴミ箱に入っていなかった、しかも冷蔵庫の近くに落下していたとは。
このまま真後ろに倒れたらどうなる。
固いものに肩が当たった。たぶんテーブルの角。痛いと思う暇なく一旦体が持ち上がった。ふわっと浮いた。ジェットコースターの一番高いところで一旦止まるなのか? と思いきや、そうは問屋が卸さない。なにを卸さないんだ?
急速落下する背面を待ち構えるものすごく固いもの。それが脳に直撃する。フローリングに置いていたひょっとこフーズの木綿豆腐3連を凍らせたものが頭蓋骨にクリーンヒット。
こりゃダメだ。意識失うやつだ。
背中が冷たいという感覚がかすかにする。凍ったひょっとこフーズの木綿豆腐だ。頭ぶつけたのは賞味期限いつのだろう。年号が違うのはなんで気づかなかったんだろう。とっとと見限って捨てればよかったのに。そもそも、気づかなかったのだから、仕方ない、のか、な。
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