俺と祝雅

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俺は、氷がカランコロンとなる麦茶の入ったコップを運びながら階段を上がった。 上がると、部屋の引き戸が少し開いてるのに気がついた。 行儀が悪いが、手が塞がってるので足で開けようとすると中からカコン!という大きな音がした。 驚き、その場に固まったが、足で勢いよく扉を開けた。  部屋には、笑顔を張り付けてこちらを向く祝雅。 「何をしたんだ?」と尋ねると、祝雅は首を横に振り素っ気なく「なんも。」とだけ答えた。 だが、俺は目が泳いでたのを見逃さなかった。 パッと見、部屋にはなにも変化はなく、音の正体も分かるはずがなかった。 「ふ~ん。」 俺は興味なさそうに言うと、手に持っていた麦茶を祝雅に渡し、自分のを一口飲んだ。 渇ききった喉が冷たい麦茶によって潤う。 うん、美味しい。
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