キミよりシロミ。

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────  ──今日も咲いてますか、黒い傘。  かれこれ三十分はお座りになられている黒い傘は、丁度後ろ向きでここから姿は見えやしない。 昼の二時、暑く暑い時間帯なのによくもまぁ何度も──と、その時だった。 「……やばい、感じ?」  勉強机から立ち上がった私は窓を開けて、網戸をも開けて、身を乗り出す。  傘が足を見せて裏向いている。 そして、傘の人がベンチに横たわっている。  他に人はいない。 そりゃそうだ、こんな人通りの少ない住宅街だ。 日中のこんな暑い中を出歩く人も少ない。 「……あーもうっ」  私は急いで部屋を出た。 見えたのは横になった人のデニムと、半分脱げたサンダル。  それから、男の人、だったと思う。
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