キミよりシロミ。

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────  ──と、思ったら、男の人っていうか、男の子、だった。 たぶん私と同じくらいの年齢、に見える。 それよりもこうしてはいられない。 多分これ、熱中症ってやつだと思う。 「あ、あの……っ」  躊躇してどうする。 「ちょっと! キミ! 意識あんの!?」  軽く頬を叩いて呼ぶ。 すると目が開いた。 「…………痛い……」  とりあえず、ほっ、とひと安心した私は男の子の胸倉を掴んで起こして座らせる。 日陰のところに連れていくのは体格的に無理そうなので、転げていた傘を拾った。 「──あ、ちょっとちょっと」  慌てて隣に座って横に倒れるところだった男の子に肩を貸した。 「キミ! 横になる前にこれ飲んで!」  冷蔵庫からひっ掴んできた飲みかけのスポーツドリンクの蓋を開けて、男の子の口に突っ込む。
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