キミよりシロミ。

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「……うぉおお……」  何その変な声。 「寄っかかってどーぞ。あと塩飴、口開けて」 「むぐ……」  ついでに私も一つ舐める。  傘を差しても暑いのは暑い。 こりゃ相当だわ、と私は、ふーっ、と息を吹いた。 「……あの、すいません。色々ご面倒おかけしまして……」 「別に。道向こうの家、私の家なんだ」 「ああ、それで……」 「ここ最近、キミのこの傘がなーんか気になっててさ」  と、私は傘をくるり、と回す。 「……覗き?」 「嫌な言い方するなぁ。ただの景色だよ」  そう言うと男の子はちょっと笑った。 気分も良くなってきたか、もたれかかっていた頭を元に戻して残りのスポーツドリンクも飲み干す。
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